大腸粘膜に炎症が起こる潰瘍性大腸炎

特に20代~30代の若年層の方に多く見られる疾患ですが、どの年代でも発症します。近年では、高齢の方でも発症するケースも見られるようになりました。
1990年頃の患者数は2万人程度だったのですが、2012年では13万4千人と報告されているように、患者数は近年増加傾向にあります。根本的な原因は分かっていませんが、過剰な免疫反応や環境因子(食事など)、腸内細菌叢の乱れなどが原因で発症するのではないかと考えられています。
潰瘍性大腸炎の症状と原因
症状
便秘と下痢を交互に繰り返している
- 下痢
- 血便
- 腹痛
- しぶり腹
- 発熱
- 体重減少
- 貧血
- 吐き気
- 嘔吐
主な症状は血便や腹痛、下痢などで、重症化すると下痢の回数や血便の量が増え、貧血や体重減少、発熱を伴うようになります。また、皮膚や目、関節にも症状が現れることもあります(腸管外合併症)。
原因
原因は残念ながら未だにはっきりと解明されていません。ただ、白血球が大腸の粘膜を攻撃してしまうなど、自己免疫疾患が関わっているのではないかと考えられています。他にも食生活や遺伝、腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化なども関係しているのではないかという説もあります。
潰瘍性大腸炎の悪化のサインは?

潰瘍性大腸炎の検査
大腸カメラ検査(内視鏡検査)をはじめ、X線検査や病理組織検査などを行い、他の疾患の可能性がないことを確認してから潰瘍性大腸炎の確定診断を行います。 また、潰瘍性大腸炎には寛解期と再燃期を繰り返すという特徴があり、症状が長引くほど大腸がんの発症リスクも上昇してしまいます。 大腸がんの確定診断に有用なのは内視鏡検査ですので、定期的に検査を受けることが重要です。
潰瘍性大腸炎の治療

潰瘍性大腸炎は、発症した時期から長期間経過してしまうと、大腸がんの発症リスクが高くなってしまう疾患です。潰瘍性大腸炎を発症した時期から30年経過した患者様の17%に、大腸がんがみられたという報告もあります。この大腸がんは「colitic cancer」と呼ばれ、早期発見が難しいがんだと言われています。先述した治療を続けても症状が緩和されない場合や、炎症からがんを発症した場合、大腸がんが疑われる場合は、大腸の全摘手術を選択します。その場合には提携病院をご紹介します。