長引く下痢で一番多いのは
数カ月以上にわたり長引く下痢で一番多いのは過敏性腸症候群です。
命に関わるご病気ではありませんが、現代医学で完治できる治療はまだ無く 症状との付き合い方をある程度整える対症療法にとどまります。
なかには症状がとりきれないケースもあり、一部には複数医師体制で専門外来を運営するクリニックも存在します。
当院は医師1名・完全予約制のため、ときに長時間カウンセリングのご希望や 予約無しでのご受診 などへ充分な対応が困難な場合もございます。
本ページは一般的な情報提供を目的として作成しております。
急におきた下痢|出し切る方法はある?
下痢を出し切る方法はありません。下痢が止まらない時は無理に出そうとせず、安静にしてください。
まずはゆっくり安静にして過ごしたり、お腹を温めたりしましょう。
早く完治させたい場合は、病院で検査を受け、原因を特定してもらう必要があります。
下痢のメカニズム
どのような状態が下痢なの?
一般的には水分の多い便、もしくはそれに近い状態の便が「下痢」だと言われています。
正常な有形便の場合、水分の含有量は70~80%程度で、水分量が80~90%になると泥状便、90%以上になると水様便(水下痢)と呼ばれます。

- 硬弁(70%以下)
- 通常弁(70~80%)
- 軟便(80~90%)
- 泥状便(80~90%)
- 水様便(90%以上)
下痢の原因疾患
感染性腸炎
ノロウイルス、ロタウイルスなどによるウイルス性腸炎や、サルモネラやカンピロバクターなどに感染する細菌性腸炎があります。下痢だけではなく、吐き気や嘔吐、腹痛、発熱、血便などの症状も現れます。
適切な抗生剤が必要なことがありますので、状況に応じて医療機関でご相談ください。
抗生剤起因性下痢
何かの事情で抗菌剤を一定期間以上使用すると、治療も終わって一段落した頃に 下痢を起こすことがあり、これを抗生剤起因性下痢といいます。投与された抗菌剤に耐性を持った特定の菌株だけが異常増殖することで発症します。栄養を取り合う競合菌株が抗菌剤で消滅して不在になるため、一部の(下痢の原因となる)菌株が独占的に増えてしまうのです。このような下痢の予防のためには、抗菌剤を内服する際に、あらかじめ乳酸菌製剤を併用するのがおすすめです。いざ抗生剤起因性下痢を発症してしまったケースでは、広域スペクトラム抗菌剤(様々な菌株に効きます)で増えすぎた不都合な菌を一掃する場合もあります。
甲状腺機能亢進症
内分泌科のご病気ですが、下痢が目立つため、最初に消化器科を受診されることがあります。
下痢の他に、暑がり、体重減少、動悸、手の震えなどの症状が現れます。正しく診断がつき治療の道がひらければ、症状は大幅に改善されます。
胆嚢摘出術後
胆嚢炎で胆嚢を摘出した方、あるいは胃がん手術時に胆嚢も一緒に切除した方の一部に、胆汁代謝に関連した下痢症が起きます。
胆汁酸を吸着する薬剤の内服によって改善する場合があります。
潰瘍性大腸炎・クローン病
大腸や小腸の粘膜に、慢性的な炎症が起こる疾患です。未だにはっきりとした原因は解明されていませんが、遺伝や腸内細菌叢など複数の因子に関係して発症することが指摘されています
症状は下痢をはじめ、血便や腹痛、動悸、息切れ、体重減少、めまいなどの症状が現れます。これらの症状が一旦改善されても、何度も再発する特徴があります。正しい診断には、大腸内視鏡が必須です。
絨毛性腫瘍 (絨毛腺腫・絨毛腺がん)
絨毛腺腫は良性腫瘍ですが、長い間放置するとがん化する恐れがある疾患です。できた部位によっては、下痢や血便などの症状が起こることもあります。このタイプの下痢には大腸内視鏡が必須で、適切に大腸検査をお受け頂くことが早期発見・早期治療のカギとなります。
進行大腸がん
進行大腸がんがあると大腸がその部分で狭くなります。便の通過障害をきたすとお腹がゴロゴロしたり、緩めの便が優先的にでてくるわりに排便頻度が遠のいたり(下痢なのに排便間隔があく)、排ガスが多くなったりと不快な症状をきたします。特に50歳以降は大腸がんの頻度も増えてきますので、一度大腸内視鏡をお受けになることをお勧めします。
ゆくゆく手に負えなくなってしまう大腸がんも、最初は小さな良性ポリープ(腺腫)にすぎません。適切なタイミングで大腸内視鏡を受けて日帰り切除しておけば、将来の大腸がんを予防することができます。大腸内視鏡を一度も受けたことがない場合では、症状がなくてすら50歳になったら節目検診として自費大腸内視鏡がおすすめです。当院では50歳以上で大腸内視鏡を受ける患者様のおよそ7割に腺腫がみつかります。大腸がん予防のためにこれを切除した場合には保険診療に切り替わりますので安心です。
大腸内視鏡
一方で、過去数年以内に大腸内視鏡を実施済みで異常がなく、経過からすでに過敏性腸症候群と診断されている場合には、原則 再検査は不要です。
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治療
突然の下痢(急性的な下痢)
脱水症状にならないよう、水分補給を徹底します。嘔吐があって自力での水分補給が難しい場合は、点滴などで補給します。
なお、水分を摂る際は、白湯や麦茶、湯冷ましなどを飲みましょう。常温か温かい飲み物にして、冷たい飲み物は避けてください。
食事は、柔らかいうどんやお粥、リンゴをすりおろしたもの、透き通ったスープ・出汁などを少しずつ摂ってください。
また、周囲に感染を拡げてしまう恐れもあるため、手洗いは徹底してください。
特に飲食を取り扱う職業や、医療従事者の方は、「関連症状が完全に消失してから48時間まで」は仕事を休むことを推奨します。
長く続く下痢(慢性的な下痢)
牛乳やカフェイン、香辛料、アルコール、冷たいものは刺激が強いため、避けてください。ささみや白身魚、卵、納豆、豆腐など、栄養価が高くて消化が良いものを中心に摂ってください。ご飯やうどんは消化しやすいように、柔らかめに調理したものを食べましょう。
執筆・監修
この記事は日本消化器内視鏡学会 東海支部評議員・指導医・専門医の理事長・院長 鏡 卓馬が執筆致しました。
浜松医科大学医学部卒業後、大学病院および地域基幹病院にて消化器内科診療・内視鏡診療に従事し、これまでに多数の大腸内視鏡検査・大腸ポリープ切除を経験しました。大腸腺腫 早期大腸がんの診断・治療を専門とした浜松市の大腸内視鏡専門クリニックにて診療を行っています。
大腸内視鏡検査では、検査技術だけでなく検査前日の食事や前処置が検査精度に直結することから、 患者さんが安心して準備できるよう、医学的根拠に基づいた分かりやすい情報発信を心がけています。過去に行ってまいりました業績はこちらです。
医学博士
薬理遺伝学・腫瘍細胞学を研究
専門領域
消化器内視鏡による診断と治療
評議員
日本消化器内視鏡学会 東海支部 評議員
日本消化器病学会 本部 学術評議員
東海支部 評議員
日本消化管学会 代議員
指導医
日本消化器内視鏡学会 指導医
日本消化器病学会 指導医
日本消化管学会 正規指導医
日本内科学会 指導医
専門医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本消化器病学会 専門医
日本消化管学会 専門医
日本内科学会 総合内科専門医
認定医
日本内科学会 認定医
その他
静岡GI club 元世話人
厚生労働省医師の臨床研修に関わる
指導医講習会 修了
日本緩和医療学会がん診療に携わる
医師に対する緩和ケア研修修了











