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2025.09.10

「同一処方箋外来」を新設しました

「お薬が切れそうだから、前回と同じ処方をお願いしたい」
そんなご希望に、よりスムーズに対応できるようにするため、当院では 「同一処方箋外来」 を新設しました。
今回のブログでは、その内容についてご案内いたします。


再診の現状

当院は完全予約制で診療しておりますが、曜日や時間帯によっては待ち時間が長くなることがありました。
この状況を少しでも改善するため、今回は「再診」に焦点をあてました。
これまで当院では「再診」をひとくくりにしてご予約を受けてまいりました。
診察時間の目安は「8分未満」で、これはクリニック診療として一般的な長さです。
しかし実際には、短時間で診察が終わる方から、長年の症状について20〜30分じっくりご相談される方まで、内容はさまざまです。
ご相談の長い方が続くと、その分ほかの患者様の待ち時間が膨らんでしまいます。
お話が長くなっても対応できるように予約数を少なくすると、今度は「必要なときに再診できない」という不便が生じてしまうのです。


「同一処方箋外来」とは

そこで今回新しく設けたのが 「同一処方箋外来」 です。
主に症状が安定していて処方内容が変わらない患者様を対象に、4分未満を目安とした短時間診察 に特化した再診枠です。
診察時間を短縮する代わりに、より多くの方が必要なタイミングで予約・受診できるよう間口を拡げました。
「経過は良いけれど残薬がなくなったので受診したい」といったご希望に、これまで以上に柔軟にお応えできる体制です。
ニーズにあわせて、それぞれの患者様が少しでも受診しやすくなるよう、今後も工夫を積み重ねてまいります。


長時間のご相談について

一方で、長時間のご相談や精密な検査が望ましい場合には、複数医師体制の医療機関の方がより適切に対応できることがあります。
医師1名体制のクリニックでは、どうしても全体の診療が滞ってしまうことがあり、十分なお時間を確保するのが難しいためです。
これまで当院では、再診患者様のお話を途中で遮ることは ほとんどありませんでした。
しかしその結果、待ち時間が延びたり、ご予約が取りづらくなったりしてしまう方がいらっしゃるのも心苦しいところです。
診療の適正化に向けた取り組みとして
再診8分
同一処方箋外来4分
という一定の診察時間の目安に どうかご理解とご協力をお願い申し上げます。

2025.04.20

定期的な胃カメラは何年ごとが適切?

このページでは、胃カメラの適切な検査間隔について、医学的根拠をもとに解説しています。
無症状の方が毎年受ける必要性の有無や、保険適用の考え方などをわかりやすくまとめています。

毎年きちんと胃カメラを受けておいた方がいいですか?
今回のブログでは、そんな疑問にお答えします。

たとえば、ピロリ菌除菌後の患者様では、胃粘膜の状態に応じて 1〜3年ごとに保険診療で胃カメラを行うのが一般的です。除菌治療後も胃がん発生のリスクが一定程度残るためです。注目すべきは、一律に毎年検査が推奨されているのではなく リスクに応じて検査間隔が異なることです。

一方で、特別な医学的理由のない健康な方が行う胃カメラについて
 ・厚生労働省の公的胃がん検診制度では50歳から2年に1回<文献1>
が目安とされます。

ただし、この「2年に1回」は、鎮静剤を使わない検査が前提であり
それに耐えられない方は検診の適応外とコメントされています。

鎮静は不可、少なくとも(健康人については)『昨年胃カメラを受けた方は今年の検診は対象外』というのが現在の国の方針なのです。

鎮静剤を使わなくては検査できない方はどうすべき?
鎮静剤を用いる検査は一定のリスクをともないます。
頻回に行えば検査のメリットよりも、後述するようなデメリットが上回ってしまいます。
鎮静が必要な方に当てはめられそうな参考として
・国内の研究報告では5年に1回 <文献2>
という目安があり最近注目されています。

鎮静剤を用いた検診目的の胃カメラの費用
検診胃カメラは、厚生局が定める診療報酬の10割負担に基づき、約19,000円(鎮静剤あり)の検査費用と、さらに初診料(約3,000円)などが別途かかります。
当院では 独自の追加料金はいただいておりませんが、近年の物価上昇や診療報酬改定の影響により、ひと昔前に比べ費用が高く感じられるかもしれません。

頻回な鎮静あり胃カメラのリスクについて

最近では「検診センターの代わりに毎年こちらで自費胃カメラを受けたい」というご相談を頂くことがあります。安心のため毎年検査したいというお気持ちはよく理解できます。

しかし、胃カメラには一定のリスクも伴います。
そのため、検査のメリットとリスクのバランスを踏まえ、必要性を慎重に判断することが重要です。

例えば鎮静検査中にマウスピースを無意識に噛み締めることよる前歯の破折、顎関節の脱臼、一過性の低酸素などのリスクが知られています。
このような理由から、「健康人が安心のため」に行う頻回の胃カメラは、得られる利益より害が上回る可能性があり、文献2のような”5年に1回”も1つの参考となります。

また、当院ではピロリ除菌後や胃粘膜下腫瘍のフォローなど、定期検査を行う医学的理由がはっきりしている患者様を優先的にご案内できるよう体制を整えております。
そのため、健康チェックの定期胃カメラ(検診・ドックの代替え)は 現在実施しておりません。

症状のある方へ

ここまでは無症状の方の定期検査についてのお話です。
症状のある方、たとえば過去に逆流性食道炎と診断されていて、以前と同じような胃痛・胸やけなどでお悩みの場合には、まず外来診察でご相談ください。

再度胃カメラが必要かどうか、患者様おひとりお一人に合わせてご提案いたします。
このような症状が時々出るのは自然なことで、特別な場合を除き定期検査は不要です。
症状があるときにまず必要なのは胃カメラではなく、診察と内服治療が基本なのです。

内服が効かない場合には、胃や食道以外の問題が起こっている事も心配され、その際は近隣病院でのCT撮影をおすすめする場合がございます。
特に過去1〜2年以内に胃カメラを受けて異常がなかった方に対しては、胃カメラ再検査の優先度は高くありません。


まとめ

今回のブログでは、胃カメラの適切な検査間隔についてご説明しました。
当院では、医学的な必要性を丁寧に判断し、保険診療の正しい運用を大切にしています。
そのため、

  • 「毎年なんとなく受けておきたい」
  • 「年に何度か胸焼けがあるので、ドックの代わりに毎回保険で安く受けられたら…」

といったご希望だけでは保険の対象となりません。
限られた医療資源を、医学的必要性の高い方に適切にお届けするため、皆さまのご理解とご協力を心よりお願い申し上げます。

参考文献

  1. 1. 厚生労働省. 『がん検診実施のための指針(令和6年度版)』
    2. Gastric Cancer. 2024年9月号; 第27巻5号: 1078–1087頁.
    doi:10.1007/s10120-024-01525-2(2024年6月27日電子出版)
2025.02.11

専門医が解説|当院の腺腫発見率(ADR)と大腸内視鏡の質

大腸がんの多くは、大腸ポリープ(腺腫)から「がん化」して発生します。
当院の大腸内視鏡検査では、将来大腸がんになる可能性のあるポリープをみつけた場合、日帰り切除をして将来の大腸がんを強力に予防致します。

大腸がん予防の観点から、腺腫発見率は30%以上が望ましいとされます。
(引用:Rex DK, et al. Gastrointest Endosc. 2015;81:31-53)
月に1000件以上内視鏡を実施するような、都市部有名クリニックの腺腫発見率は公表値40数%(とても良好)が多いです。
それに対して、今回の記事では当院の発見率をまとめてみました。

<発見率の計算は以下のようにしています>
 腺腫発見率 (ASDR* %)
 =100x{(上記腺腫各種を1つでも切除した患者様数) ÷ (大腸内視鏡検査総数)}

管状腺腫・絨毛腺腫・管状絨毛腺腫、およびSASSLSSL-D† と病理診断された患者様数をカウントします。
・お一人の患者様の検査で、一度に
たくさん腺腫を切除しても、その患者様はあくまで「1名」のカウントです。
・大腸内視鏡を受けたすべての患者様を対象に集計します。
・切除した病変はすべて病理検査しており、”病理検査報告書”をご本人様にお渡ししています。

[*ASDR: Adenoma and SSL Detection Rate
[SA: Sarrated Adenoma, SSL: Sessile Sarrated Lesion, SSL-D: SSL with Dysplasia. いずれもMSI-H大腸がんの前駆病変です]

前述の3種の腺腫と鋸歯状病変について当院の最近の発見率(ASDR)は以下の通りです。
2024年
  1月:100x(65/104) = 62.5 %
  2月:100x(60/102) = 58.8 %
  3月:100x(75/122) = 61.5 %
  4月:100x(71/100) = 71.0 %
  5月:100x(71/ 96)  = 74.0 %
  6月:100x(68/114) = 59.6 %
  7月:100x(83/123) = 67.5 %
  8月:100x(86/126) = 68.3 %
  9月:100x(81/117) = 69.2 %
10月:100x(88/137) = 64.2 %
11月:100x(91/126) = 72.2 %
12月:100x(95/139) = 68.3 %
(2024年の通年での平均発見率=66.4%)

このように、おおむね60~70数%で推移しており良い成績です。
まとめると、1日8人の患者様に大腸内視鏡をおこなった場合、そのうち5人ほどに 前述のいずれかの腺腫等が見つかる計算です。
浜松市内には内視鏡診療レベルの高いクリニックがいくつもありますが、当院もHigh detector(高確率で腺腫を見つけだす施設)の一つと言えます。
発見率が1%上がると、患者様の大腸がんの死亡率が5%低下することが世界屈指の医学雑誌New England Journal of Medicineで報告されています。
(引用:Douglas A. Corley et al.: NEJM, 2014; 370:1298-1306)
大腸がんの予防の観点から、ある程度 腺腫発見率の高い施設で検査をうけることが重要なのです。

当院は技術力、診断力、設備力、そしてチームワークを整え、クリニックとして良質な大腸内視鏡をご提供できるよう日々努力と工夫を積み重ねております。


2024.09.08

待合室ソファについて

待合室

2022年の開業以来、当院ではシンプルな形の待合ソファを使用しています。感染対策の観点から、清拭・清掃がきちんとできるよう この形になりました。以前にくらべ重症化例は減ったとはいえ、巷での新型コロナ感染症患者様数はいまだに多い状況で 感染対策は継続しております。座り心地とは両立しにい一面もあり悩ましいのですが、 どうぞご容赦のほどお願い申し上げます。長時間の着座に不向きかもしれませんが、少しでも待ち時間が短縮できますよう 努力してまいります。

 

2024.02.21

内視鏡室の青色照明(ブルーライト)は何のため?

こんにちは、院長の鏡 卓馬です。
当院では昨年から内視鏡室に「青色」LED補助照明を用いています。
聞き慣れない青色照明、全国的には一部の内視鏡施設だけで採用されています。
今回のブログ記事ではその効果とメリットについて2点解説いたします。

   

【青色照明(ブルーライト)の補色効果】

胃や大腸の病気は微妙な「赤」の色調をともなうことが多いです。
内視鏡をする際に、検査室を青色LEDで照らすと検査モニターに映るこの「赤」を発色具合を良好に保てるのです。このため、より小さな病気もよく見え、診断精度が向上するという理屈です。

【やってみて気がついた、睡眠効果】

検査映像をより鮮明にするため内視鏡検査室をできるだけ暗くする、これは昔よくあった検査室の風景です。
たとえばホームシアターで映画を観るときに、お部屋全体を暗くするほどに 映像がくっきりするのと同じことです。
しかし、あまりに検査室を真っ暗にしすぎると鎮静剤で眠っている患者様のご様子(表情・呼吸の様子)がよく見えず、医療安全の観点からは良くありません。
そのため、検査中は血圧・呼吸モニターを付け、患者様の様子がわかる程度に白色の調光ダウンライトをつけて明るくしておく…最近はこのようなやり方が多いと思います。
しかし、白色光でそれくらいの明るくすると、眠っている患者様にとっては かなりの視覚刺激になってしまいます。
眠って行うはずの内視鏡検査を他院で受けたのに 様々な刺激で途中覚醒してしまい、苦しい思いをされた患者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
当院でブルーライトを採用して一番印象的だったのは 同じ鎮静剤の条件でも患者様がより良く眠られるようになったことです。
「医療安全にふさわしい明るい照度」で検査室全体をブルーに照らしているのにも関わらず、患者様はスヤスヤと眠られるので鎮静剤の総量も少なめで済みます。
また、たとえば胃の検査の際に、患者様がしっかりと眠られていると「オエっとなる嘔吐反射」やそれによる「検査画像のブレ」がなくなるため、検査の精度が良くなります。
これもまた患者様にとって大きなメリットとなります。

もちろん、当院には照明以外にもたくさんの工夫があり ここに全部は書ききれません。
ブルーライトはそのような工夫の1つであり
・「検査モニターにうつる胃や大腸のご病気の 赤い発色 を邪魔せず、映像がくっきりして見やすい」
・「鎮静剤で眠っている患者様のご様子もよく見え医療安全に良い」
・「患者様にとって余計な視覚刺激とならず、鎮静剤による眠りを妨げない」
・  結果的に「病気が見つけやすくなる」
といったように当院が目指す良質な検査に一役買っております。
検査室環境、高解像度の内視鏡機材、内視鏡医の目、医療安全 これらがある程度揃わないと良い検査はできません。当院では「良質な内視鏡検査」を患者様にご提供できますよう日々努力しています。

当院へのご予約はWebから24時間いつでも可能です

ご予約はこちらから

2023.02.19

なぜ大腸カメラ検査が必要なの?消化器内科医から大腸カメラをお勧めする理由

当院では大腸内視鏡検査に特に力を入れて取り組んでおります。
なぜ、消化器内科医の私が特に大腸内視鏡に力を入れ、皆様にお勧めしているかご説明したいと思います。

内視鏡専門医が検査に対応

今、日本人の約半数ががんになると言われています。
とくに大腸がんは患者数が近年増加傾向で、40歳代から増え始め、50歳代で急に増加します。全体的に、ご年配になるほど多くなります。
統計では、大腸がんは罹患率第一位、死亡数第二位(女性に限ると第一位)という結果が出ています。

他のがんと比べても上位にランクインしており、私たちにとって身近ながんです。
そのような意味では、誰もが注意しなければならない病気といえます。

大腸がんの検診で行われる便潜血検査は、便に血が混じっているかどうかを判定する検査で、主に「進行した大腸がん」を見つけるために行われます。
早期大腸がんや、ポリープの段階では便潜血は陽性にならないことも多いです。

大腸がんの有無を検査する方法の中でも、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は最も高精度です。
スコープを肛門から挿入して大腸の中を観察、ポリープがあった場合には切除治療も行えます。

内視鏡室

大腸カメラにより発見した早期大腸がんは 消化器内科医が大腸内視鏡で切除し完治を目指せる時代になりました。
2011年から急速に普及した大腸の内視鏡的粘膜下層剥離術のおかげです。

また大腸がんを未然に防ぐには、がん化する可能性のあるポリープを切除しておくことが最良です。
ポリープを予防的に切除するためにもやはり大腸カメラを受ける必要があります。

大腸がんは、早期がんの段階や、がん化する前のポリープの状態の時は無症状です。

がんによる血便や腹痛など、顕著な症状が現れた段階では進行がんになっている頻度が多く、治療への道筋を一刻もはやく開いてさしあげることが必要です。

いずれにせよ、できるだけ早期に発見し治療をすることが重要であることから、当院では特に次のような方に大腸内視鏡検査をおすすめしています。

・自覚症状があらわれている

・大腸がんリスクが高い50歳以上

・食事や嗜好習慣が偏っている

・家族にがんが多い

大腸カメラの必要性をご説明してきましたが、検査自体に不安があって、先延ばしにしてしまう患者様のお気持ちもとてもよくわかります。

当院では大腸カメラに対する つらい・怖いといったマイナスイメージを和らげ、検査を必要とする患者様に苦痛の少ない大腸内視鏡をご提供したいと考えています。それにより、大腸がんで亡くなる方をお一人でも減らしたい想いで、日々検査・治療に取り組んでおります。

当院では患者様ができるだけ苦痛が少なく大腸カメラを受けることができるように大腸内視鏡機材や挿入法に工夫をしております。
また、特に皆様が不安に感じていることが多い「痛み」について、鎮静剤や鎮痛剤を適切に使用し、患者様がウトウトと眠っている間に検査を行うようにしています。

 

大腸カメラで大切な人の命を救える可能性があります。

これを読んでくださっているあなた自身だけでなく、両親、兄弟、友人、全てに当てはまることです。

検査を受けたいが、どこの病院へ受診したら良いのかわからない

そんな時には当院へご相談ください。

2022.07.31

病院見学会にご参加いただきありがとうございました

2022年7月31(日)に院内のご紹介をする目的で見学会を開催させていただきました。

感染症対策で見学会の内容を一部縮小しておりましたが、皆さまのご協力のおかげで無事見学会が開催できました。
ご来院してくださいました地域の皆さま、病院関係者の皆さまに感謝申し上げます。

8月2日(火)に開院し、診療を開始いたします。
皆様の期待にお応え出来るよう、精一杯頑張りますので何卒よろしくお願い致します。

内覧会へいらっしゃることができなかった方もお困りのこと等ございましたら、お気軽にご相談下さい。

かがみ消化器内科クリニック 鏡 卓馬

 

2022.03.08

建設工事始まっております

こんにちは、2022年開院予定の「かがみ消化器内科クリニック」院長の鏡卓馬です。

当院の建築予定地で1月に地鎮祭、先週上棟式を執り行いました。

お忙しい中ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
工事の方本格的に始まってまいりました。
引き続き、工事で近隣の皆さまにご迷惑おかけすると思いますが、何卒ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

 

2022.02.03

新規開院のご挨拶

この度、2022年8月に浜松市東区有玉南町で「かがみ消化器内科クリニック」を開院することになりました。
浜松医大や聖隷浜松病院でたくさんの患者さまを診療させていいただいた経験をいかし、地域にお住まいのみなさまからいつでも頼っていただける存在になれるよう診療に取り組んでまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

かがみ消化器内科クリニック院長 鏡 卓馬

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