FODMAP

過敏性腸症候群(IBS)とFODMAP

近年話題になった腸内細菌を意識した食事療法は、お腹の調子がそこまで悪くない方にとっては効果が得られても、調子が悪い方にとっては、余計悪化させてしまうケースもあります。そこで、FODMAP(フォドマップ)という治療が注目されています。FODMAPでは「低FODMAP食」という食べ物が推奨されており、オーストラリアで始まったとされています。FODMAPは、以下のような特徴があります。

FODMAP食

  • 効果が科学的に証明されている
  • 必要な栄養素が摂れるため栄養不足にならない
  • 長期間、症状が落ちつくようになる

ただし、低FODMAP食を始める前には、きちんと過敏性腸症候群の診断をつける必要があります。また、低FODMAP食は過敏性腸症候群の患者様だけでなく、潰瘍性大腸炎やクローン病の患者様の症状の改善においても有効です。

FODMAPとは腸内細菌による食事療法

FODMAP 腸内細菌FODMAP 腸内細菌まず「高FODMAP食」と「低FODMAP食」の2種類があります。
「高FODMAP食」とは、発酵性で、かつ吸収されにくい短鎖炭水化物群の食品のことです。これらをとりすぎるとお腹がゴロゴロしたり痛くなったり、下痢が起こったりします。また、お腹のガスも溜まりやすくなります。
腸内の善玉菌(ビフィズス菌やラクトバチラス、LGG乳酸菌など)は、過敏性腸症候群の患者様に有効ですが、これらの善玉菌をヨーグルトで摂ろうとすると、問題が起こるケースがあります。高FODMAP食を食べると過敏性腸症候群の患者様は、大腸内の酸性度が高くなってしまい、症状が強く現れやすくなります。
高FODMAP食を避けた食事療法を3週間続けると、過敏性腸症候群の患者様のうち、75%の割合で症状が軽減したと報告されています。

低FODMAP食をスタート前に準備してほしい事

規則正しい生活を送る

自律神経の調子を整えるのに大切なのが、規則正しい生活です。起床・就寝時間はできるだけ一定にしてください。特に大切なのが、起床時間です。起床時間を揃えることで、眠くなる時間もだんだんと一定になってきます。

食事の時間も一定にする

「朝食は7~8時の間に食べる」といったように、できる限り食事の時間を一定にしてください。お仕事やご家庭のご都合もあるかと思いますので、できる範囲で結構です。

食事を抜かない

規則正しい生活を送るため、またしっかりと必要な栄養素をとるため、1日3食を守るようにしてください。

主食・主菜・副菜をバランスよく

食事全体の約半分を主食、もう半分をおかずとします。そしておかずは「主菜1:副菜2」の割合にして食べるのが理想的です。

低FODMAP食と高FODMAP食 一覧

※この表は横にスクロールできます。

低FODMAP食 高FODMAP食
  • 玄米
  • 蕎麦
  • メープルシロップ
  • 甘酒
  • アーモンド
  • トマト
  • ホウレンソウなど
  • レンズ豆・ヒヨコ豆
  • 小麦
  • 玉ねぎ
  • 乳製品(ヨーグルト・牛乳)
  • 発酵食品
  • 果物
  • ハチミツ
  • マッシュルーム
  • カリフラワーなど

FODMAP食事制限の方法

step.14~6週間:高FODMAP食を制限する時期

治療開始から4~6週間は、高FODMAP食を徹底的に制限していただきます。
この期間を経た後に、症状が改善されているかどうかを調べます。
症状が改善した倍は、高FODMAP食が過敏性腸症候群を引き起こしていたことが判明されます。
高FODMAP食を4~6週間制限し続けていても症状に効果なしだった場合は、FODMAP以外の原因が考えられます。

step.26週間後~:FODMAP食を少しずつ増やす時期

4~6週間の食事制限を経た後は、高FODMAPの食品の中で何が原因なのかを特定する期間へ移ります。
高FODMAP食を1つずつ試しに食べてみて、食べた後に症状がでないと分かった場合は、「その食品によって過敏性腸症候群を引き起こしているわけではない」ことが分かります。

step.3原因となるFODMAPを除いて食事を楽しみましょう

過敏性腸症候群の症状を引き起こす食品が分かりましたら、その食品を除いた食事を摂るようにします。
ただ、たくさんの食品を取り除くことになった場合など、食事に使用する食品に偏りが出てしまいます。他の食品で補うなど、栄養バランスが崩れないように注意しなければなりません。

IBS便秘型 食生活のポイント

小まめに、正しく水分を摂取しましょう

便秘型の過敏性腸症候群でも、便の水分が不足すると便が硬くなってしまうという点は、通常の便秘と変わりありません。
小まめに、正しく水分を摂取しましょう。「正しく」というのは、カフェインやアルコールなどではなく、水や麦茶などのノンカフェイン飲料で水分を摂りましょう、ということです。また、水や麦茶でも、冷たすぎるものは避けましょう。理想的なのは常温です。

食物繊維・乳酸菌を意識的に摂取しましょう

食物繊維は、善玉菌のエサとなります。食物繊維を豊富に含む野菜などを、毎日しっかり食べるようにしてください。また、ヨーグルトや納豆、みそなど、乳酸菌を多く含む発酵食品も、腸内環境を整えてくれます。

IBS下痢型 食生活のポイント

下痢を誘発する食品を避けましょう

牛乳・乳製品、脂質の多い食品、冷たい食べ物・飲み物、刺激物、アルコールなどは、下痢を誘発することがあります。
過敏性腸症候群の治療としては、できるだけ避ける必要があります。

消化のよい食品・調理法を取り入れましょう

おかゆ、うどん、豆腐、白身魚などは、脂質が少なく消化のよい食品であり、症状の軽減が期待できます。
また、調理法も大切です。油を使わない煮物や蒸し物などは、腸への刺激が少なく、消化もスムーズです。
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